17 きく 心を込めて

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教会のクリスマスに、たくさんの子どもたちが参加。みんなの笑顔に幼稚園児も打ち解け 「あめのみつかいの」 を合奏して歌いました。

 自粛生活もあと少しの辛抱。本当にがんばりましたね。

 「すこやかなひきこもり」に必要なものは、家族の役割分担と対話であると最初にお伝えしました。今日は「対話」で一番重要な「聴くこと」についてお話ししましょう。

 不安や怒りが強いとき、人は「不安だ」とか「怒りががまんできない」とはなかなか言えないものです。赤ちゃんなら、間髪を入れずギャァとかブーウウウと大げさに騒ぎますが、少し成長した子は、陰でシクシク泣いていたり、すごくわがままを言ってみたり、突然黙ってしまったり…と表現が複雑で、その子によってさまざまです。こんな時、お母さん又はお父さんはおちついて、「心を込めて聴く」ことに専念してください。

 「何か困ったことあるよね。ちゃんと聴くから教えて。」と子どもを膝に乗せるか安心できるように肩や背中に手を乗せて、しばらく待ってあげてください。兄弟げんかをした時でも、なんとか両方の子どもにこの時間をとってあげて欲しいです。待つことは難しいですが、黙って待ってください。あれこれ質問は禁物。せかせるのもダメです。その子の心の準備ができることが大切なのです。聴く方は待つのです。出てきた一つ一つの子どもの言葉に心を傾けて、「そうだったのね。」としっかり受け止めてください。頷いたり、聴いたことばを繰り返してあげるのはOK。でも「それはね...」とさえぎって母の答えやアドバイスをするのはまだ早いです。

 こういうときに、子どもが求めているのは答えではありません。教えでもありません。「共感」だけ。お母さん、お父さんが「わかってくれた!」それだけでいいのです。「そうか、悲しかったねぇ。話してくれてありがとう。」と言ってしばらくぎゅっと抱きしめてあげると、「きゃっ、もういいよ。」と言って立ち上がると思います。こうして立ち上がる子どもは、何度も共感され、癒やされ、立ち上がることによって情緒の安定した子になるでしょう。その子の「答え」は、自分で見つけるほうがいいのです。自分のものになるからです。どうぞ、心込めて聴いてあげてください。

 

 そ・れ・で・も奮闘記 (第16回)

 日本人のセレブ嗜好の奥さまがたとの付き合いは苦手な私でしたが、何でも話し合えるお友達もたくさんできました。近くの集落の中にある市場に一緒に行って、広東語で値段の交渉をして野菜を買うのも楽しい体験でした。水牛の首がそこらに置いてあったり、ニワトリやチャボは生きているのを選んでそこで羽根をむしってもらって買っていく店の前は、大急ぎで通り過ぎましたが、あまり客の入っていない酒家(レストラン)の料理は、格別おいしいもので驚きました。ここの人々もまず、親切でした。

 香港の人で、親しくさせていただいた人々もいます。隣のフラットのご自宅で、美しい英語を使って中華料理を教えてくださった夫人。北京ダックも目の前で作ってくださいました。東京のヤマハで習っていたピアノ専門コースを香港でも継続していた長男と、ほとんど練習をしない次男が、ピアノの個人レッスンをしてくださった Ms. Lau。お二人ともやさしく物腰がスマートで、おうちの調度品もシックでおしゃれでした。子どもたち3人を連れて別荘地のようなラウ先生のお宅に通わせていただくのは毎週すてきな時間でした。

 アグネス・チャンさんのお姉様、ヘレン・チャンさんとも親しくお話しする機会がありました。日本語がおできになるので、日本人が予防接種を受けたり診察してもらいにいくのが、チャン診療所でした。次男が日本人学校に入学したのを機に、4歳の娘はできたばかりのオイスカ日本語幼稚園に転入し、私はPTAの役員を頼まれました。そのときにはじめての講演会を開くことになり、香港と日本の医療と子育てについてヘレン・チャンに話していただこうということで、彼女との交渉、シティーホールの会議室の予約などを全部一人でやったと記憶していますが、ヘレンさんはとてもすてきなご婦人でした。アグネスさんは、たぶんお姉様も、香港のメリノール(その頃ももうメリーマウントになっていましたが)学院の出身です。

 他にも、教会の友人は香港人、フィリピン、韓国人、アメリカ人など、信仰や心の話題でも話し合ったり、一緒に歌ったり踊ったり活動をともにして深く親しく関わりました。「共感できる」ということが、人に安心、信頼を与えるのですね。どこにいても、人は「共感されること」を求めているものです。~つづく~