6 つかむ はさむ

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 ほら、ヨーグルトをビスケットに塗ってジャムサンドにしたね。むふっ、かわいい。

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ままごとだいすき。後ろには表札つきのままごとの「おへや」が見えます。

 指先を使う作業は、子どもにとってたいへん重要。脳の発達を大きく助けます。モンテッソリーの「お仕事」では、ちいさな豆やビーズを指でつまんで、お皿に移すことから始めます。豆の種類やビーズの色で2~3種類に分けて移せるように準備し、何も説明せずにゆっくり一粒取って移して見せ、「おしごとおねがいします。」と、与えてみてください。真剣に慎重に分類してそれぞれのお皿に運ぶと思います。1歳児でも喜んでします。もう少し大きい子は、角砂糖をつかむようなトングで、さらに大きい子はお箸ではさむことに挑戦させましょう。幼稚園では、ツバキの実をお箸ではさむ「お仕事」が棚に置いてあります。夏のオープンガーデンに来ていたお姉ちゃんたち(小学生)が、「先生、割り箸ください。」と言うので作りました。トングではすぐにできちゃうからもっと難しいのがいい、とのこと。ちゃんと次の自分の課題が見つけられるようになっていました。

 どの家庭にもすぐにでも使える宝物があります。洗濯ばさみです。厚紙を動物や蝶や鳥のかたちに切って、まわりに挟む場所の印をしてあげれば慎重に上手に色も選んでお仕事をすると思います。洗濯ばさみそのものもまた、ブロックとは一風異なる造形のおもちゃになり、恐竜やお花も作れます。(百均で大量に買えます。)遊んでいるうちに指先の力の入れ方、使い方がじょうずになります。

 このような指の運動をたくさんしているかどうかは、次の、クレヨンの持ち方、筆圧、はさみの使い方のコツの会得に影響を与えます。「お箸の持ち方を園で教えてほしい。」というのは、(海の星カトリック幼稚園にはいませんが)親として恥ずかしいことだと、私は思っていますよ。チャンスを与えるのが親の仕事。子どもは自分から学ぶ天才なのです。

 もっと小さい子なら、新聞紙を与えてビリビリ破くことから始めましょう。包装紙は堅いので薄いものから挑戦。指先が上手に使える子は年長児になるとぞうきんをぎゅっと絞ることができるようになります。

 

そ・れ・で・も奮闘記 (第5回)

 Mr. Mahマーさんは、とっても親切な方でした。シンガポールの空港でニコニコと出迎えて、「わたしも休暇をとって行きますから、ティオマン島(Plau Tioman) に行きましょう。」と言ってくださいました。彼はシンガポールに住む中国人で英語、マレー語そして、中国語は広東語と多分北京語が話せます。この人が案内してくれるなら安心! 自分の車でシンガポールの街をスイスイと走り、「ここはオリンピック選手のためのプールです...」などと教えてくださり、大きなご自宅で奥さまが準備してくださったアフタヌーンティーをごちそうになりました。庭が広くて、調度品、家具が重厚でおしゃれ。シンガポールの人々は、なんていい暮らしをしているのだろう。私、シンガポール観光でも充分いいんですけどね。子どもたちはというと、きれいなおうちなのでお利口にしています。広い芝生の水まきをやらせてもらったりして。

 ホテルで一泊して、そのティオマン島とやらに向かうのは、マーさんの車に乗せてもらったと思います。シンガポールマレー半島の先っぽにある小さな国。その島に渡るにはマレーシアへと国境を越えます。なにやらややこしい手続きがありそうだけど、マーさんがムニャムニャと言うとスンナリ通過。車窓に見えるのはプランテーション。今度ははげ山。あっ、ここもしかして材木を日本人がたくさん輸入して割り箸にしちゃって森林破壊したとこ? と、見るもの全部珍しい。ほこりっぽい道をかなり走って、フェリーが出るという桟橋へ。ここでもチケットやら、他にボーディングパスやら、ちょっと不機嫌そうな人たちがマレー語でまくし立てます。車をどこかに預けて戻ったマーさんにすっかり頼ってお世話になり、やっと乗船。

 えっ? 観光客なんてひとりもいませんよ。買い出しをすませたような大荷物を持ったおばさん、上半身裸のおじさん、ちょっと暗い表情の兄ちゃん…いわゆる地元の島民が島に帰るんですね。フェリーと言っても20人乗りくらい? もちろん、古くてガソリンの匂いがして、油っぽい綱とかが床においてあったりして、シートは緑色のビニールがところどころ破れています。

 そ・れ・で・も...きっと、向こうにはすてきな島があるはず。マーさんを信じよう。子どもたち、しっかり捕まっているのよ。動かないでね。デッキに出たい? やめてよ。もし落ちたら、だれも助けてくれないよ。海は窓から見なさい! 窓、見えないって? あぁ、ガラスかプラスチックか相当使い込んでるね。見えるつもりで見てて。船がでるよ。ブン、ブン、ブン…ボーっ。わぁ、エンジン大きい音。もうおしゃべりしても聞こえない。それにひどく油臭い。 ~つづく~