13 とおす

 

 

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小さな穴にピックを刺したり、洗濯バサミを紐に通して遊んだりしましたね。

 トトロンルームのお仕事には「通す」ものがたくさんあります。集中力を養います。最終回にはゴムにビーズや切ったストローを通してネックレスを作りました。細いストローにゴムが通せるようになっていましたね。年少児はどんなものを通せるか工夫して家族の首飾りを作りましょう。

 もっと大きい子はこれを発展させて、縫物ができるようになります。初めは毛糸用の針と細い毛糸でガーゼくらいの粗い目の布を縫います。色鉛筆で印をつけてあげると、まず周りを縫ってから対角線にしたり、模様にしたり・・・たのしいです。はじめと終わりの留めはお母さんがやってください。つきっきりでなくても、子どもは結構慎重にけがをしないでやれます。以前の年長児は作品展で雑巾を縫って展示しました。また、百均には、手織りツールが売っていますよ。(下の写真) 時間をかけてコツを習うと、好きな子はどんどん発展させます。指を使って毛糸を編む「指編み」をお母さんに教えてもらってロープを作ってきた年長の子がいて、みんなで習って、長~く園舎の端まで届くほどにしたことがありました。指編みでマフラーくらいは子どもも編めますね。小学生なら、かぎ針編みもすぐに覚えます。オリジナル作品ができあがるのは喜びますね。

 

そ・れ・で・も奮闘記 (第12回)

 ティオマン島」と聞いて、調べられた方もあるかもしれません。30年以上経った今も、「手付かずの自然」と言われていますから、ほんとに素晴らしいところなのです。現在はネットの情報に「おすすめの10のホテル」とかありますが、快適、都会的なホテル滞在を期待しないほうがいいかな。その頃でもペナンやバリのホテルではプールで遊びました。こんなにどっぷり海岸に住み着いたのは初めてでした。バケーション慣れしている欧米の方は、ヤシの木陰で、1日中好きな小説を読んでは、ハンモックで揺れて海を見る…という過ごし方を満喫しているようす。何日、何か月の休みなんでしょう? うらやましい。うちの子どもたちも飽きずに、時を忘れたように、砂で、海岸でのびのびと遊びます。兄弟喧嘩も忘れているようでした。

 砂浜から海に入って行くと、水はどこまでも透明で、大人の靴くらいの大きさのナマコがゴロゴロいるところもありますが、それを捕る人はいません。魚もイカもウニも、漁をして売るという概念ではなく、「必要な時、海からもらっていただこう。」という感覚なのかと思いました。朝、必要な分の漁をしたら、または、産んであるあしながの鶏の卵を拾ったら、あとはゆっくり過ごそうという雰囲気でした。木陰で、または屋根のあるところで、初老の人たちが将棋のようなものを広げていたように記憶しています。自然との共生。自然にしっかり抱かれている。そして感謝している。そういえば、一度も怒った人、声を荒らげる人を見たことがありません。警官やガードマンさえ見ません。犯罪は無いのかも。人々はしあわせなのです。

 今、新型コロナウィルス感染が広がって、すべての生活がストップあるいはスローダウン。私たちは問われています。そんなに必要ですか。それ以上に手に入れなければならないのですか。そんなに急ぐ必要があるのですか。「もっと、もっと...」と望みすぎてはいませんか。望み過ぎてほかの人のことを忘れてはいませんか。

 そして、思い通りにならない時に怒りすぎるようになっていませんか。一番悲しいのは、感染者、ひいては医療従事者に対する差別的な言動です。もう一つ悲しいのは、自粛警察といわれる自粛しない人への過剰な攻撃。自分の怒りや不安をこのような形でぶつけるのは、愛されたことのない人たちなのでしょうか。このパンデミックの一番の恐怖は、ウィルスそのものではなくここにあるかもしれません。思い通りにならないとぎゃぁぎゃぁ泣いていた赤ん坊は、欲しいものを与えられることによってではなく、愛され抱きしめられることでだんだん聞き分けができて成長します。人と共感できるようになります。なんでも思い通りになる環境で育つことがけっして幸せではないと思います。

 この奮闘記を書きながら、ティオマン島に居る間にも人の生き方と文明について考えさせられたことを思い出しています。

 さて、ホテルと呼ばれるところについたところから次回にしましょう。~つづく~

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